意外とハマる!日本酒・焼酎ハイボールの作り方|話題のアレンジ術


ハイボール娘
現在、日本の伝統的な酒である「焼酎」と「日本酒」を使ったハイボールが、新たなムーブメントとして国内外で注目を集めています。今回は、「和のハイボール」の世界をご紹介します。
■日本酒ハイボールの歴史
焼酎ハイボールが70年以上の歴史を持つ一方で、日本酒ハイボール、通称「酒ハイ(さけはい)」は、比較的最近になって広まった新しいトレンドです。これは、日本酒の伝統的なイメージを刷新し、新たな飲用シーンを切り拓く動きとして注目されています。
日本酒ハイボールの最大の魅力は、その「親しみやすさ」にあります。日本酒はアルコール度数が15度前後と、ビールなどに比べて高いものが多く、その強さや独特の風味が苦手という人も少なくありません。しかし、炭酸で割ることでアルコール度数が7~8%程度に下がり、非常に飲みやすくなります。味わいも、日本酒本来の米の旨味や香りを残しつつ、炭酸の爽快感が加わることで、軽快ですっきりとした飲み口に変わります。
■焼酎ハイボールの歴史
焼酎ハイボールのルーツは、第二次世界大戦後の混沌と活気が入り混じる昭和20年代(1940年代後半~1950年代)の東京下町にあります。当時、安価に手に入る焼酎はまだ品質が安定せず、独特のクセがあって飲みにくいものでした。そこで大衆酒場の店主たちは、この焼酎を少しでも美味しく、多くの人に楽しんでもらうために知恵を絞りました。
その工夫の結晶が、焼酎に「謎のエキス」と呼ばれる甘いシロップを加え、炭酸水で割るというスタイルでした。このエキスは、例えば「天羽飲料製造」の「天羽の梅(てんばのうめ)」に代表されるようなもので、その配合は各店の門外不出の秘伝とされ、店の個性を象徴する味となりました。この飲み物は「焼酎のハイボール」と呼ばれ、やがてその略称である「酎ハイ(チューハイ)」として広く親しまれるようになります。
■日本酒・焼酎ハイボール、味・香り・酔い方の違いは?
日本酒ハイボールと焼酎ハイボールは具体的に何が違うのでしょうか。その根本的な違いは、原料となる酒の製造方法にあります。焼酎は「蒸留酒」、日本酒は「醸造酒」であり、この違いが味、香り、成分、そして酔い方にまで影響を与えます。
①味と香り
焼酎ハイボール
ベースとなる焼酎の種類で大きく異なります。クセのない甲類焼酎を使えば、非常にクリアでドライ、どんな食事にも寄り添うすっきりとした味わいになります。一方、芋や麦などの原料の風味を活かした本格焼酎(乙類)を使えば、その原料由来の個性的な香りとコクが前面に出た、飲みごたえのある一杯になります。
日本酒ハイボール
日本酒が持つ米由来の「旨味(うまみ)」や、麹がもたらす自然な「甘味」がベースとなります。炭酸が加わることで、これらの風味が軽やかに引き立ち、焼酎ハイボールに比べて柔らかく、複雑で豊かな味わいを楽しむことができます。
②カロリーと糖質
健康志向の消費者にとって、これは重要な違いです。蒸留の過程で糖分が取り除かれるため、焼酎(甲類・乙類ともに)自体の糖質はゼロです。したがって、無糖の炭酸水で割った焼酎ハイボールは、糖質を気にせずに楽しめます。一方、日本酒は米を発酵させて造る醸造酒であり、原料由来の糖質を含みます。そのため、日本酒ハイボールには糖質が含まれることになります。
③酔い方(体への影響)
科学的には、酔いの度合いは摂取した純アルコール量に比例します。しかし、酒の種類による体感の違いは古くから語られてきました。一般的に、蒸留酒である焼酎は、醸造酒である日本酒に比べて、二日酔いの原因物質とされる「コンジナー(不純物)」が少ないとされています。
そのため、焼酎は比較的「酔い覚めがすっきりしている」「悪酔いしにくい」と感じる人が多いようです。ただし、これはあくまで傾向であり、最も重要なのは飲むペースと総量、そして個人の体質であることは言うまでもありません。
④日本酒・焼酎ハイボール早見表
| 焼酎ハイボール(酎ハイ) | 日本酒ハイボール(酒ハイ) | |
| 酒類 | 蒸留酒 (Distilled) | 醸造酒 (Brewed) |
| 製造法 | 醸造した醪(もろみ)を加熱し、 気化したアルコールを冷却・液体化する | 米、米麹、水を発酵させて造る |
| 主な味わい | クリアでドライ(甲類)、 原料の風味が豊か(乙類) | 米由来の旨味と甘味、 フルーティーで複雑な味わい |
| 一般的な度数(割った後) | 7~9% | 5~8% |
| 糖質 | ゼロ(無糖炭酸水の場合) | あり |
| 歴史 | 昭和20年代、東京下町発祥の庶民の酒 | 平成後期~令和、新しい飲み方として普及 |
| こんな人におすすめ | すっきり爽快な飲み口が好き、 糖質が気になる、食事の味を邪魔しないお酒が欲しい | 日本酒の新しい魅力を発見したい、 アルコール度数が高いお酒が苦手、風味豊かな食中酒を楽しみたい |
■おすすめの焼酎銘柄5選
①いいちこ(麦)
「下町のナポレオン」の愛称で親しまれる、麦焼酎の代名詞。徹底して磨かれたクリアな味わいと、ほのかな麦の香りは、焼酎ハイボールのベースとして完璧なバランスです。近年発売された缶ハイボール「いいちこ下町のハイボール」も、その本格的な味わいで高い評価を得ています。
②赤霧島(芋)
芋焼酎特有の土っぽさを覆す、華やかでフルーティーな香りが魅力。原料の紫芋「ムラサキマサリ」由来の気品ある香りと澄んだ甘みは、炭酸で割ることでさらに際立ち、芋焼酎のイメージが変わるほどの飲みやすさです。
③里の曙(黒糖)
奄美群島でのみ製造が許可されている黒糖焼酎。ラム酒にも似た、ほのかで優しい黒糖の甘い香りが特徴です。3年以上熟成させることで生まれるまろやかさは、ハイボールにすると爽快感の中に心地よい余韻を残します。
④黒霧島(芋)
芋焼酎の売上トップを走り続ける絶対的王者。黒麹由来のトロリとした甘みと、キリッとした後切れが特徴です。ハイボールにしてもその存在感は薄れず、芋の豊かなコクと炭酸の爽快感が見事に両立します。
⑤富乃宝山(芋)
芋焼酎の世界に「吟醸香」という概念を持ち込んだ革命的な一本。黄麹を使い、柑橘類を思わせるフルーティーな香りを実現しました。ロックや水割りだけでなく、ソーダで割る「トミボール」も公式に推奨されており、華やかな香りが楽しめます。
⑥おすすめ銘柄一覧
| 種類(原料・蒸留法) | 味わいの特徴 | 参考価格 | |
| いいちこ25度 | 麦・減圧 | クセがなくクリアでまろやか。 万能な定番。 | 約1,077円 |
| 赤霧島 | 芋・― | 紫芋由来の華やかな香りと澄んだ甘み。 フルーティー。 | 約1,300円 |
| 里の曙 | 黒糖・減圧 | ほのかな黒糖の甘い香りと 熟成によるまろやかさ。 | 約1,200円 |
| 黒霧島25度 | 芋・― | 黒麹由来のトロリとした甘みと キリッとした後切れ。 | 約1,099円 |
| 富乃宝山 | 芋・― | 黄麹由来の柑橘系アロマ。 華やかで飲みやすい。 | 約1,700円 |
■おすすめの日本酒銘柄5選
①久保田 千寿 純米吟醸
綺麗でスッキリとした味わいの中に、穏やかで上品な吟醸香が香る現代的な食中酒の代表格。その絶妙なバランスは、ハイボールにしても崩れることなく、食事と共に楽しむのに最適です。
②白瀧酒造 上善如水
その名の通り、水のようにクリアで飲みやすい日本酒の先駆け。近年ではキウイ由来酵母を使った「by Jozen」シリーズなど、フルーティーさを追求した商品も多く、ハイボールにすると軽快なフルーツソーダのような感覚で楽しめます。
③大七 生酛 純米
「生酛造りの代名詞」とも言える一本。豊かなコクと力強い酸味は、ハイボールにすると驚くほどキレの良い、複雑で満足感のある味わいに変化します。燗酒の王様として知られますが、冷やして炭酸で割ることで、そのポテンシャルの新たな一面を発見できます。
④宝酒造 松竹梅 瑞音
炭酸割り専用酒のパイオニア的存在。日本酒度-17という甘口で酸度の高い酒質は、炭酸水と1:1で割った時に最もフルーティーで爽やかな味わいになるよう設計されています。
⑤笹祝酒造 清酒ハイボール
新潟の酒蔵が「日本酒文化を新たに作る」という想いで開発。アルコール度数を20%に設定することで、ウイスキーのように1:3や1:4で割っても味が負けない、力強い味わいを実現しています。
⑥おすすめ銘柄一覧
| 種類 | 味わいの特徴 | 参考価格 | |
| 久保田 千寿 純米吟醸 | 純米吟醸 | 綺麗で上品な吟醸香。 バランスが良く食中酒に最適。 | 約1,617円 |
| 上善如水 純米吟醸 | 純米吟醸 | クリアで軽快。フルーティーで飲みやすい。 | 約1,300円 |
| 大七 生酛 純米 | 純米・生酛 | 力強い酸と深いコク。 味わい深いハイボールに。 | 約1,390円 |
■まとめ
焼酎と日本酒、それぞれの個性が光る「和のハイボール」の世界、いかがでしたでしょうか。戦後の下町酒場の知恵から生まれたキレのある「焼酎ハイボール」と、日本酒の新たな可能性を切り拓く、米の旨味豊かな「日本酒ハイボール」。どちらも、その歴史や製法を知ることで、味わいが一層深く感じられます。

ハイボール娘
定番の銘柄から個性派の一本、そして炭酸割り専用酒まで、選択肢は無限に広がっています。ぜひ、おすすめの銘柄を参考に、様々な組み合わせを試してみてください。
今後も、「美味しいハイボール」が飲めるような作り方やアレンジ方法などの記事を投稿していくので、いつもの家飲みを「ちょっと特別」にしてみたい方はぜひ見てね!
■よくあるご質問
Q1:「焼酎ハイボール」と「酎ハイ」は、厳密には違うものですか?
A1:元々「酎ハイ」は「焼酎ハイボール」の略称でした。現在、酎ハイはウォッカベース等も含む広い意味で使われ 、焼酎ハイボールは本格焼酎を使ったこだわりの一杯を指す傾向にあります。
Q2:自作ハイボールが美味しくない(まずい)です。考えられる原因は何ですか?
A2:自作ハイボールがまずい主な原因は5つ。①比率 、②酒選び 、③材料の温度 、④氷の質 、⑤混ぜすぎです。材料の冷却と良質な氷、優しい一回混ぜが重要です。
Q3:日本酒や焼酎は、甘口と辛口どちらがハイボールに向いていますか?
A3:「甘口か辛口か」という二元論よりも、「味わいの強さと骨格」で選ぶのが正解です。炭酸に負けない個性があれば、辛口のキレも、にごり酒のような濃厚な甘口も美味しく楽しめます。
Q4:炭酸水は強炭酸がいいと聞きますが、他におすすめはありますか?
A4:強炭酸が定番ですが 、他の選択肢も。トニックウォーターやジンジャーエール、フレーバーソーダなどで、ベースの酒に合わせたアレンジが楽しめます。
Q5:温かい「ホットハイボール」は作れますか?美味しい作り方は?
A5:炭酸が抜けるため温かいハイボールは作れません。代わりに焼酎のお湯割りや、ホット日本酒がおすすめ。体が芯から温まり、冬にぴったりの楽しみ方です。

