【2025年11月】ウイスキーニュース速報|注目のボトル・イベント


ハイボール娘
今回は、2025年11月のウイスキー界を賑わすこれらの重要なトピックをご紹介!新発売のボトル情報はもちろん、イベント情報まで包括的に解説します。
■業界ニュース
11月のウイスキー業界において、新製品情報と並んで最も重要なニュースが、アサヒビールが発表したニッカウヰスキー製品の価格改定の延期です。当初、アサヒビールは2025年11月1日出荷分から、国産ウイスキーの一部商品の価格を改定する計画を発表していました。対象となっていたのは、日常的に親しまれている「ブラックニッカ クリア」「ブラックニッカ リッチブレンド」「ブラックニッカ ディープブレンド」、そして「ハイニッカ」といった主力ブランドです。
改定率は約10~13%とされており、原材料価格や物流費の高騰、そして品質向上のための設備投資などが理由として挙げられていました。多くの消費者や小売店がこの価格改定に備える中、10月9日に事態は急変します。アサヒビールは、9月29日に発生した大規模なシステム障害の影響で、通常の受注・出荷業務が停止していることを理由に、この価格改定を延期すると発表したのです。このシステム障害により、出荷できる商品が一部に限られる状況となり、全国一斉の価格改定を正確に実施することが物理的に不可能になったため、延期という判断に至りました。延期後の新たな価格改定日については、現時点では未定とされています。
■新発売・限定ウイスキー
11月の国内ウイスキー市場は、大手から新進気鋭のクラフト蒸溜所まで、話題の限定ボトルが続々と登場します。
①ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム<山崎原酒樽熟成>
ウイスキーの枠を超えたユニークな試みとして、サントリーから「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈山崎原酒樽熟成〉2025」が11月11日に数量限定で発売されます。サントリーが誇るプレミアムビール「マスターズドリーム」を、世界的に評価の高い山崎蒸溜所のモルトウイスキー原酒に使用した樽で熟成させた、非常に贅沢なクロスオーバー商品です。
ビールがウイスキー樽の香りを纏うことで、「重厚な熟成香と満ち溢れる余韻」が生まれます。2025年版は特に、飲んだ後に広がる芳醇な香りや、甘味と苦味の調和を長く楽しめる味わいに仕上げられているとのことです。アルコール度数は8.5%とビールとしては高めで、容量は715ml瓶、価格は6,600円(税込)。ウイスキーファンとビール愛好家の双方にとって、見逃せない特別な一本となるでしょう。
②ザ・ニッカ リミテッド
ニッカウヰスキーからは、同社のブレンディング技術の粋と伝統の継承を象徴する特別なボトル「ザ・ニッカ リミテッド」が11月5日に数量限定で発売されます。このウイスキーが特異なのは、前チーフブレンダーと現チーフブレンダーという、新旧二人の才能が共創した「作品」であるという点です。
味わいは、潮風を思わせる余市モルトのピート香、ダークチョコレートのようなビター感、そして樽由来のウッディさが重なる、穏やかで厚みのある構成となっています。国内4,000本、海外4,000本の合計8,000本限定で、価格は165,000円(税込)と非常に高価。単なるウイスキーとしてではなく、ニッカの歴史と未来を繋ぐアートピースとしての価値を提示する、コレクターズアイテムとしての位置づけを明確に示しています。
③嘉之助蒸溜所「シングルモルト SHERRY CASKS VATTED」
嘉之助蒸溜所から、11月21日に数量限定品「嘉之助シングルモルト SHERRY CASKS VATTED」が発売されます。このボトルは、嘉之助のフラッグシップである「シングルモルト嘉之助」を、シェリー樽で華やかに彩るというコンセプトのもと造られました。味わいの核となるのは、オロロソシェリー樽とクリームシェリー樽で熟成させた原酒。
これらを贅沢にヴァッティング(調合)することで、ダークチェリーのアロマと、フルーツたっぷりのパウンドケーキを思わせるリッチな味わいを実現しています。アルコール度数は48%、価格は10,450円(税込)。嘉之助蒸溜所が、特定のカスク(樽)タイプに対する深い理解と、それを表現する卓越した技術を持っていることを証明する一本です。
④菱田蒸溜所「ニューボーン Prelude3」
天星酒造の菱田蒸溜所からは、11月4日に「菱田蒸溜所 ニューボーン Prelude3」が発売されます。これは、ウイスキー愛好家にとって非常に興味深いリリースです。「ニューボーン」とは、蒸溜後、樽で熟成を始めたばかりの若いスピリッツのことで、日本の酒税法上、まだ「ウイスキー」と名乗ることができない段階のものを指します。
この「Prelude3」は、菱田蒸溜所にとって初となるモルト100%のニューボーンであり、ペドロ・ヒメネス(PX)シェリー樽で21ヶ月間熟成されています。PXシェリー樽由来の濃厚な甘みとドライフルーツの香りが特徴で、若々しい力強さとオーク樽のウッディな余韻が調和していると評価されています。アルコール度数47%、価格は6,050円(税込)で、限定2,000本の生産です。
⑤ボウモア シェリー12年
アイラモルトの女王と称されるボウモア蒸溜所から、サントリーを通じて「ボウモア シェリー 12年」が11月4日に数量限定で発売されます。これはボウモアブランドから発売される新シリーズの一環で、シェリー樽で後熟(フィニッシュ)させた原酒を使用しているのが最大の特徴です。
ボウモア本来の潮気とピートスモークの風味に、シェリー樽由来の華やかな香りが加わることで、複雑で奥行きのある味わいが生まれます。日本のウイスキーファンは、甘くフルーティーなシェリー樽熟成のウイスキーを好む傾向が強く、このリリースはまさにその需要に応えるものです。アルコール度数は40%で、ECサイトでは8,400円前後で予約が開始されています。
⑥デュワーズ カリビアンスムース8年
世界的な人気を誇るブレンデッドスコッチ「デュワーズ」からは、サッポロビールが輸入する「デュワーズ カリビアンスムース 8年」が11月5日に数量限定で再発売されます。この商品は過去にも限定発売され、大変な好評を博しました。
その人気の秘密は、ユニークな製造工程にあります。8年以上熟成させたウイスキーをブレンドした後、さらにラム酒の熟成に使用された樽で仕上げています。このラム樽フィニッシュにより、ブラウンシュガーの深く甘い香りや、トロピカルフルーツのようなフルーティーな味わいが加わり、従来のスコッチウイスキーのイメージを覆す、非常に飲みやすくキャッチーな味わいが実現されています。
★主要ウイスキー発売早見表
| 商品名 | メーカー/蒸溜所 | カテゴリー | 発売日 | 参考価格 (税込) | 特徴 |
| ザ・ニッカ リミテッド | ニッカウヰスキー | ブレンデッド | 2025年11月5日 | 165,000円 | 新旧チーフブレンダーの共創による限定8,000本の高級ボトル |
| 菱田蒸溜所 ニューボーン Prelude3 | 天星酒造/菱田蒸溜所 | ニューボーン | 2025年11月4日 | 6,050円 | 蒸溜所初のモルト100%。PXシェリー樽で21ヶ月熟成 |
| 嘉之助シングルモルト SHERRY CASKS VATTED | 小正醸造/嘉之助蒸溜所 | シングルモルト | 2025年11月21日 | 10,450円 | オロロソとクリームシェリー樽原酒をヴァッティングした限定品 |
| ボウモア シェリー 12年 | サントリー/ボウモア蒸溜所 | シングルモルト | 2025年11月4日 | 8,400円 (ECサイト参考) | シェリー樽後熟による華やかな香りと甘みが特徴の限定スコッチ |
| デュワーズ カリビアンスムース 8年 | サッポロビール/デュワーズ | ブレンデッド | 2025年11月5日 | オープン価格 | ラム樽で仕上げたトロピカルな風味が人気のボトルが数量限定で再販 |
| ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈山崎原酒樽熟成〉2025 | サントリー | ビール (樽熟成) | 2025年11月11日 | 6,600円 | 山崎蒸溜所のウイスキー原酒樽で熟成させた特別なビール |
■注目イベントカレンダー
秋が深まる11月は、ウイスキーをテイスティングするだけでなく、その造り手や文化に触れる絶好の機会です。今月は、南国・鹿児島で同日に開催される二つの大規模な蒸溜所祭りと、東京・銀座で開催される高級感あふれるイベントが開催されます。
①火の神蒸溜所ウイスキーまつり2025
2023年にウイスキー製造を開始した薩摩酒造の火の神蒸溜所が、初となる大規模なウイスキーイベントを2025年11月9日(日)に開催します。入場は無料で、会場内では専用コイン(1枚200円)を使って飲食を楽しむスタイルです。目玉は、この祭りのために特別にボトリングされた限定ウイスキー「HINOKAMI WHISKY MATSURI LIMITED EDITION 2025」の販売です。さらに、枕崎火の神太鼓保存会による演奏や鰹の解体ショーなど、地元の文化と融合した催しも多数企画されており、家族連れでも楽しめる地域密着型のお祭りとなっています。
②津貫蒸溜所祭り2025
本坊酒造の津貫蒸溜所でも、2025年11月9日(日)に恒例の祭りが開催されます。こちらでは、焼酎蔵の見学ツアーや、製造スタッフによるテイスティングセミナーなど、より深くウイスキー造りを学べるプログラムが用意されています。そして、毎年ファンが心待ちにしているのが、祭り記念ボトルの抽選販売です。この日、この場所でしか手に入らない特別な一本を求めて、多くの愛好家が集います。重要なポイントとして、両蒸溜所間を結ぶシャトルバスが運行されるため、一日で二つの祭りを「ハシゴ」することが可能です。
③THE YAMAZAKI EXPERIENCE IN GINZA
東京・銀座では、サントリーがシングルモルトウイスキー「山崎」の世界観に浸れる、エクスクルーシブなイベント「THE YAMAZAKI EXPERIENCE IN GINZA」を11月1日から12月30日まで開催します。このイベントは、銀座のバー「日比谷BAR WHISKY-S」を、山崎蒸溜所をコンセプトにした特別な内装に改装して行われます。完全予約制・90分制で、提供されるのは「山崎18年」(1ショット7,600円)といった希少なウイスキーや、山崎を構成する様々な原酒の飲み比べセットなど、この場所でしか味わえない特別なメニューです。
■まとめ
2025年11月のウイスキー市場は多様性の祭典でした。サントリーとニッカは歴史を語る超高級路線でウイスキーを収集品の域へ。一方、嘉之助や菱田などクラフト勢は個性的な製品で未来を示しました。

ハイボール娘
価格改定延期や海外からの新製品は市場のグローバルな連動性を、鹿児島と銀座のイベントは体験価値の重要性を浮き彫りに。製品から文化まで話題が凝縮された一ヶ月でした。12月の年末商戦も目が離せません。
今後も、「美味しいハイボール」が飲めるような作り方やアレンジ方法などの記事を投稿していくので、いつもの家飲みを「ちょっと特別」にしてみたい方はぜひ見てね!
■よくあるご質問
Q1:2025年11月発売のウイスキーで、特に希少価値が高い注目商品は何ですか?
A1:ニッカウヰスキーから発売される「ザ・ニッカ リミテッド」が最も注目されています。新旧二人のチーフブレンダーが共創した特別なボトルで、国内外合わせて8,000本のみの限定生産です 。価格も165,000円(税込)と高価で、コレクターズアイテムとしての価値が非常に高い一本です。
Q2:ウイスキー初心者におすすめの、11月発売の新商品はありますか?
A2:「デュワーズ カリビアンスムース 8年」がおすすめです。8年以上熟成させたスコッチウイスキーをラム樽で仕上げており、ブラウンシュガーやトロピカルフルーツのような甘く飲みやすい味わいが特徴です 。ウイスキー特有のクセが少なく、初めての方でも楽しめるでしょう。
Q3:記事に出てくる「ニューボーン」とは何ですか?
A3:「ニューボーン」とは、蒸溜を終えて樽で熟成を始めたばかりの若いスピリッツのことです。日本の酒税法上、まだ「ウイスキー」と名乗れない段階のものを指します。菱田蒸溜所の「ニューボーン Prelude3」がこれにあたり、蒸溜所が将来造るウイスキーの片鱗をいち早く味わえる、いわば「未来へのプレビュー」のようなお酒です。
Q4:ニッカウヰスキーの価格改定が延期されたのはなぜですか?
A4:2025年9月29日に発生した大規模なシステム障害が原因です 。この影響で通常の受注・出荷業務が停止し、全国一斉の価格改定を正確に実施することが物理的に不可能になったため、延期が決定されました。
Q5:11月のイベントで、気軽に参加できるものはありますか?
A5:11月9日に鹿児島県で開催される「火の神蒸溜所ウイスキーまつり2025」がおすすめです。入場無料で、お祭りのような雰囲気の中、限定ウイスキーの購入だけでなく、地元の太鼓演奏や食文化にも触れることができます 。同日開催の「津貫蒸溜所祭り」との間にはシャトルバスも運行されるため、一日で二つのイベントを楽しむことも可能です。

