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ウイスキーで作る本格梅酒レシピ|初心者でも失敗しない作り方のコツ

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ハイボール娘
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ウイスキーの深い香りと梅のさわやかな酸味が出会うと、いつもの梅酒作りが、一気に「大人の楽しみ」へとグレードアップ!

この記事では、ウイスキー梅酒の魅力から、失敗しない作り方のコツ、香りと味の相性を最大限に引き出すおすすめ銘柄までご紹介!

自家製梅酒は酒税法で制限があります。20度以上の課税済み酒類を使い、原料に米・麦・ぶどうはNG。作った梅酒は家庭内での個人消費限定で、販売や譲渡は禁止です。

■ウイスキー梅酒とは?

ウイスキー梅酒は、その名の通り、ウイスキーをベースにして梅を漬け込んだリキュールです。一般的な梅酒がホワイトリカー(甲類焼酎)やブランデーで作られることが多いのに対し、ウイスキーを使用することで、以下のような特徴が生まれます。

風味
ウイスキー特有のバニラ、オーク樽、スモーキーさ、スパイス、フルーツ香などが梅の風味と融合し、重層的で複雑な味わいを生み出します。例えば、バーボンウイスキーを使用すれば「バニラやメープルの濃厚な甘味」が加わることが期待できます。

香り・色合い
ウイスキー自体が持つ豊かなアロマが、梅酒にさらなる深みと複雑さをもたらします。ウイスキーの色が影響し、より深い琥珀色や黄金色の梅酒に仕上がることが一般的です。

 

■ウイスキー梅酒作りに必要な材料

梅 (Plums)
一般的には熟す前の青梅が使われます。しかし、完熟梅を使うと、また異なる風味の梅酒に仕上がります。代表的な品種としては、南高梅、白加賀梅、古城梅などがあります。

砂糖 (Sugar)
一般的には氷砂糖のゆっくりと溶ける性質が、浸透圧によって梅のエキスを徐々に引き出すのに役立つため推奨されます。コクのある風味を加えたい場合は黒砂糖、より素朴な甘みにはきび砂糖も選択肢となります。

ウイスキー (Whisky)
後述するウイスキー選びのセクションで詳しく解説しますが、アルコール度数は35%以上が望ましいとされています。



保存容器 (Storage Container)
広口で密閉できるガラス製の瓶が最適です。容量は、材料の総量に対して余裕のあるものを選びましょう(推奨:4リットル程度の瓶)。


各材料の分量目安
ウイスキー梅酒の材料比率は、好みに応じて調整できます。最も一般的なのは「青梅1kg・氷砂糖400〜600g・ウイスキー1.8L」のバランス型。甘めが好みなら砂糖を1kgに増やすと濃厚でまろやかに。逆にすっきりした味わいを求めるなら砂糖を200〜400gに抑えた超辛口仕様もおすすめ。甘さはもちろん、梅の風味やウイスキーの香りの出方も変わるため、自分の理想の味に合わせて調整しましょう。

 

■ウイスキー選びのポイント

アルコール度数
梅のエキスを効率よく抽出し、保存性を高めるためには、アルコール度数が高いウイスキーが適しています。理想的には35%以上が良いとされています。日本の酒税法では、家庭で果実酒を作る場合、20度以上のアルコールを使用することが定められていますが、品質を考慮するとより高い度数が推奨されます。

ウイスキーのタイプ
バーボン、スコッチ、アイリッシュ、ジャパニーズ、カナディアンなど、ウイスキーの種類によって仕上がりの風味は大きく異なります。例えば、「香りが強く個性的な商品が多いスコッチウィスキー、初心者でも飲みやすいバーボンウィスキー。そして日本企業が製造するのが、すっきり系のジャパニーズウィスキー」といった大まかな傾向があります。

おすすめウイスキー比較表

銘柄タイプ主な風味の特徴アルコール度数梅酒にした際の期待される味わい参考価格帯
メーカーズマークバーボンバニラ、メープル、まろやかな甘み、コク45%甘く濃厚、リッチな味わい2,500~3,500円
ジャックダニエル No.7テネシーウイスキーバナナ、バニラ、メープル、チャコール濾過によるスムースさ40%甘くて深みがあり、フレッシュな梅と好相性2,000~3,000円
サントリーウイスキー知多ジャパニーズ(グレーン)バニラ、フルーティー、軽やか、クセがない43%華やかで洗練された、すっきりとした味わい4,000~7,000円
ブラックニッカ リッチブレンドジャパニーズ(ブレンデッド)レーズンのようなフルーティーな甘さ、クセがない40%甘くフルーティー、飲みやすい1,500~2,000円
バランタイン ファイネストスコッチ(ブレンデッド)バニラ、蜂蜜の甘み、ライト、クセがない40%ほどよく濃厚で飲みやすい、バランス型1,500~2,000円
ジョニーウォーカー ブラックラベル12年スコッチ(ブレンデッド)コク、甘み、スモーキーさのバランス、フルーティー、樽香40%複雑で旨みのある、スモーキーなニュアンス3,000~4,000円
ティーチャーズ ハイランドクリームスコッチ(ブレンデッド)熟した果実、しっかりとしたスモーキーさ40%個性的でクセになる美味しさ、スモーキー1,500~2,000円
カナディアンクラブカナディアン蜂蜜のような優しい甘み、ライトな飲み口、クセがない40%クセのない甘さ、すっきりとした仕上がり1,500~2,000円

 

■ウイスキー梅酒の基本的な作り方

梅の下処理

まず、梅を水洗いして表面の汚れを落としましょう。洗った後は、一粒ずつ丁寧に水気を拭き取ることが大切です。水分が残っているとカビの原因になるため注意!次に、竹串などでヘタを取り除くと、えぐみや苦味の発生を防ぐことができます。また、青梅の渋みが気になる場合は、水に2〜4時間浸けてアク抜きするのも◎。さらに、梅に穴を開けたり冷凍することでエキスが出やすくなり、味を染み込みやすくすることもできます。

漬け込みの手順

まずは殺菌済みの保存瓶に、下処理した梅と氷砂糖を交互に重ねて入れていきます。目安としては、梅→砂糖→梅→砂糖……と、1/3ずつ交互に重ねるのがコツです。最後に、梅がすべてしっかり浸かるようにウイスキーを静かに注ぎ入れましょう。注ぎ終えたら、しっかり蓋を閉めて密閉すれば準備完了です。

初期のお手入れについて

漬け始めの数週間は、氷砂糖がしっかり溶けるまでが大切な時期。1日1回、もしくは数日に1回、瓶をそっと揺すって中身をなじませましょう。これにより、味が均一になりやすくなります。また、保存場所は、直射日光を避けた、涼しくて温度変化の少ない場所(冷暗所)で、静かに熟成させてください。

④ 熟成期間について

  • 初期(~3ヶ月)
    梅のエキスがウイスキーにじわじわと染み出し、アルコールの角が取れてきます。まだ若々しく、ややシャープな印象ですが、この段階でも十分楽しめます。
  • 中期(6ヶ月~1年)
    梅とウイスキーがなじみ合い、まろやかでバランスの取れた風味に。多くのレシピで「飲み頃」とされるのはこのタイミングです。
  • 長期(1年以上)
    熟成が進むとさらにコクと深みが増し、円熟した味わいに。2〜3年かけてじっくり寝かせることで、まさに“特別な一杯”になります。

※ウイスキーの種類によっても熟成の進み方は変わります。ピートの効いたスモーキータイプは、時間の経過とともに香りの変化も楽しめますよ。

梅の実は、漬け込みから約1年を目安に取り出すのがおすすめ。長く入れすぎると、渋みや濁りが出ることがあります。ただし、「もっと濃厚にしたい!」という方は、状態を見ながら長めに漬けてもOK。梅の実を取り出したあとの梅酒は、清潔な密閉瓶に移して冷暗所で保存をしましょう。

 

■よくある失敗例と解決策

①カビの発生

原因
瓶や道具の消毒不足、梅の水気が残っていた、使用したウイスキーのアルコール度数が低すぎた、梅が液面から露出していた、などが考えられます。

対策
徹底した消毒、梅の完全な乾燥、適切なアルコール度数のウイスキーの使用、梅を完全に液中に沈めることが重要です。万が一カビが発生した場合は、残念ながら飲用は避け、廃棄するのが安全です。

梅がシワシワになる

原因
これは主に浸透圧によるもので、砂糖が梅の内部から水分を引き出すために起こります。砂糖の量が多いほど、梅は縮みやすくなります。

対策
ある程度のシワは、エキスが抽出されている証拠であり、必ずしも失敗ではありません。シワを最小限にしたい、またはふっくらとした梅の実も楽しみたい場合は、梅に数カ所穴を開ける、梅を一度冷凍する、砂糖の量を若干控える(ただし甘みや抽出に影響あり)といった方法があります。

味が薄い

原因
ウイスキーの量に対して梅の量が少ない、熟成期間が短い、梅自体のエキス分が少ない、砂糖の比率が適切でない、などが考えられます。

対策
次回作る際に梅や砂糖の比率を見直す、熟成期間を長く取るなどを試みましょう。

味が濃すぎる/甘すぎる

原因
砂糖の量が多すぎた、梅の量がウイスキーに対して多すぎた、または非常に風味豊かで甘口のウイスキーを使用した、などが考えられます。

対策
飲む際にソーダや水で割って調整します。次回の仕込みでは砂糖の量を減らしましょう。ウイスキーの梅酒割りで、ウイスキーの苦味が梅酒の甘さを抑えるという意見もあります。

発酵してしまった

原因
使用したウイスキーのアルコール度数が20%未満と低かったため、梅に付着していた天然酵母などが糖分を栄養にしてアルコール発酵を起こした可能性があります。

対策
必ずアルコール度数20%以上(できれば35%以上)のウイスキーを使用してください。意図しない発酵が起きてしまい、異臭や異常なガスが発生した場合は、飲用は避けるべきです。

 

■手軽に楽しむ市販のウイスキー梅酒

自家製も楽しいですが、手軽に高品質なウイスキー梅酒を試したい場合は、市販品も良い選択肢です。

百年梅酒ウイスキー樽熟成
明利酒類が製造するこの梅酒は、秩父蒸溜所のウイスキー樽で熟成されており、樽由来のバニラ香と複雑で重厚な甘みが特徴です。

サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒ブレンド〉完熟梅
サントリーが山崎蒸溜所のウイスキー古樽で貯蔵・ブレンドした梅酒で、豊かな香りと華やかな味わいを実現しています。

白鶴 梅酒原酒 厚岸蒸溜所 ウイスキー樽貯蔵
白鶴酒造が、厚岸蒸溜所のピーテッドウイスキー樽やノンピートウイスキー樽で梅酒原酒を熟成させたもので、スモーキーなタイプとウッディなタイプがあります。

樽仕込高級梅酒 ゆめひびき
ニッカウヰスキーの熟成に使われた木樽で追熟させた本格熟成梅酒です。

これらの市販品は、ウイスキーをベースに梅を漬け込む「自家製ウイスキー梅酒」とは異なり、多くは伝統的な製法で作られた梅酒を、使用済みのウイスキー樽で「熟成」させることでウイスキーの風味を加えています。自家製ではウイスキーの成分が直接梅のエキス抽出に関与するのに対し、樽熟成の場合は梅酒が樽材に含まれるウイスキー由来の香味成分(バニリン、タンニン、微量の残存ウイスキーなど)を吸収します。どちらも「ウイスキーが香る梅酒」ですが、風味の成り立ちや深みが異なる可能性がある点を理解しておくと、より深く楽しめるでしょう。

 

■まとめ

今回は、ウイスキーで作る本格梅酒のレシピから、失敗しないためのコツ、そして手軽に楽しめる市販品まで、その奥深い魅力をご紹介しました。どのウイスキーを選ぶか、甘さはどうするか、どれくらい寝かせるか。すべてを自分好みにカスタマイズし、時間をかけてじっくりと変化を待つ時間は、自家製ならではの贅沢な楽しみです。この記事で紹介したポイントや失敗への対策を参考にすれば、初心者の方でもきっと美味しいウイスキー梅酒を完成させることができるでしょう。

もちろん、「まずはプロの味を試したい」という方には、こだわりの市販品も素晴らしい選択肢です。

ハイボール娘
ハイボール娘

ウイスキーの豊かな香りと梅の爽やかな酸味が織りなす、複雑で味わい深いウイスキー梅酒。ぜひこの機会に、あなただけの特別な一杯を作ってください!

 

今後も、「美味しいハイボール」が飲めるような作り方やアレンジ方法などの記事を投稿していくので、いつもの家飲みを「ちょっと特別」にしてみたい方はぜひ見てね!

 

■よくあるご質問(Q&A)

Q1:初めてウイスキー梅酒を作るの時に、失敗しにくいウイスキーはありますか?

A1:初心者の方は、バニラのような甘い香りでクセのないバーボン(メーカーズマーク等)や、バランスの取れたブレンデッドスコッチ(バランタイン ファイネスト等)がおすすめです。アルコール度数は、エキスがよく出て保存性も高まる35%以上のものを選びましょう。

Q2:漬けてからどのくらいで飲めるようになりますか?一番おいしいタイミングは?

A2:最短で3ヶ月頃から飲めますが、梅とウイスキーがなじんでまろやかになる6ヶ月~1年後が一般的な飲み頃です。さらに1年以上熟成させると、よりコクと深みが増した格別な味わいになります。

Q3:作っている途中でカビが生えないか心配です。防ぐコツはありますか?

A3:一番の対策は「清潔」です。保存瓶をしっかり熱湯やアルコールで消毒し、洗った梅の水気をキッチンペーパーなどで完全に拭き取ることが重要です。また、アルコール度数35%以上のウイスキーを使うこともカビ防止に繋がります。

Q4:漬け込んだ梅の実は、いつ取り出してどうすれば良いですか?

A4:渋みや濁りが出るのを防ぐため、漬け込みから約1年を目安に取り出すのがおすすめです。取り出した梅の実は、そのままデザートとして食べたり、刻んでジャムにしたり、お肉料理のソースなどに活用できます。

Q5:もっと甘くしたり、逆に甘さ控えめにしたりできますか?

A5:はい、砂糖の量で自由に調整できます。一般的な比率は梅1kgに対し氷砂糖400〜600gですが、濃厚な甘めが好みなら1kgまで増やしたり、すっきりドライにしたいなら200gまで減らしたりと、自分だけの黄金比を見つけるのも自家製ならではの楽しみです。