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マッカラン×グレンドロナック|美味しいシェリー樽ウイスキーはどっち?

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ハイボール娘
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今回は、シェリー樽ウイスキーの基本から、二大巨頭であるマッカランとグレンドロナックをご紹介します。

■シェリー樽とは何か?

シェリー樽ウイスキーとは、その名の通り、スペイン産の酒精強化ワイン「シェリー酒」の熟成に使用された樽で熟成させたウイスキーのことです。かつて、シェリー酒は樽ごとスコットランドへ輸出されており、その空き樽をウイスキーの熟成に再利用したのが始まりでした。当初は安価に入手できるという実用的な理由からでしたが、やがてシェリー樽がウイスキーに与える芳醇な香りとリッチな味わいが評価され、一つの確立されたスタイルとして人気を博すことになったのです。

①現代における希少性と価値

シェリー樽ウイスキーは高級品として扱われることが多くなっています。その背景には、シェリー樽自体の希少化があります。現在、シェリー酒の樽ごとの輸出は法律で禁止されており、ウイスキーメーカーは熟成のためだけに、わざわざスペインの樽製造所にシェリー樽の製作を依頼しなければなりません。この手間とコストが、ウイスキーの価格に反映されています。

「シェリー樽」という言葉は、ウイスキー初心者にとっては単に「甘くてフルーティーなウイスキー」というイメージかもしれません。しかし、その実態は遥かに複雑で多様な世界です。使用されるシェリー酒の種類によって、ウイスキーの風味は劇的に変化します。

例えば、辛口のシェリー「オロロソ」の樽で熟成させればナッツのように香ばしくドライな味わいに、極甘口の「ペドロ・ヒメネス」の樽を使えばレーズンのように濃厚で甘い味わいになります。この風味を理解することが、シェリー樽ウイスキーを深く楽しむための重要なステップです。

②味わいを決める樽の種類と風味

シェリー樽ウイスキーの個性を理解する鍵は、熟成に使われる「樽」そのものにあります。ここでは、ウイスキーの風味を決定づける主要なシェリー樽の種類について、その特徴を詳しく見ていきましょう。この知識があれば、ボトルのラベルや専門家のテイスティングノートを読み解く力が格段に向上します。

オロロソ樽
ウイスキーの熟成に最も広く使われるのが、辛口シェリー「オロロソ」を熟成させた樽です。この樽で熟成されたウイスキーは、ナッツのような香ばしさ、ドライフルーツの凝縮された風味、そして心地よいスパイシーさが特徴となります。色合いは濃い琥珀色になる傾向があり、リッチで複雑な味わいを生み出します。

ペドロ・ヒメネス樽
ペドロ・ヒメネス(通称PX)は、天日干しして糖度を極限まで高めたブドウから造られる、非常に甘口のシェリー酒です。このPX樽で熟成されたウイスキーは、黒蜜やレーズン、イチジクを思わせる、濃厚でシロップのような甘みが最大の特徴です。その強烈な個性から、ウイスキーに圧倒的な甘さと複雑さを与えるために用いられます。

フィノ樽
非常にドライな辛口シェリー「フィノ」の樽。ウイスキーにスパイシーでウッディな、軽快な印象を与えます。

アモンティリャード樽
フィノとオロロソの中間的な特徴を持つ辛口シェリーの樽。ナッツのような香ばしさと複雑な味わいが特徴です。

モスカテル樽
マスカット系のブドウから造られる甘口シェリーの樽。カシスのような甘酸っぱさやフレッシュな果実の風味をもたらします。

シェリー樽の種類早見表

樽の種類シェリー酒のタイプウイスキーに与える主な風味代表的な使用銘柄
オロロソ樽辛口ドライフルーツ、ナッツ、
スパイス、リッチで複雑
ザ・マッカラン
グレンドロナック18年
ペドロ・ヒメネス樽極甘口レーズン、黒蜜、イチジク、
濃厚でシロップのような甘み
グレンドロナック12年
ラフロイグPXカスク
フィノ樽辛口(ドライ)スパイシー、ウッディ、軽快比較的珍しいが、
限定品などで使用
アモンティリャード樽辛口ナッツ、複雑な味わい比較的珍しいが、
限定品などで使用

 

■マッカラン×グレンドロナック比較

シェリー樽ウイスキーを語る上で避けては通れないのが、ザ・マッカランとグレンドロナックという二つの蒸溜所です。どちらもシェリー樽熟成の最高峰として知られ、フルーティーな味わいという共通点を持ちながらも、その哲学と個性は似ているようで大きく違います。ここでは、両者のブランドとしての立ち位置やスタイルを比較し、その違いの核心に迫ります。

①シングルモルトのロールスロイス

マッカランは、その卓越した品質とブランド力から「シングルモルトのロールスロイス」と称される、ウイスキー界のラグジュアリーブランドです。エドリントン社が所有し、日本ではサントリーが販売を手掛けるこのブランドは、その製造工程、特に樽へのこだわりで知られています。原木の選定から製樽、そしてシェリー酒によるシーズニング(風味付け)までを自社で徹底管理し、完璧な品質のシェリー樽を生み出しています。

そのハウススタイルは、一貫して「華やか」で「エレガント」。主にスパニッシュオークのオロロソシェリー樽を使用し、洗練されたバランスの取れた味わいを追求しています。現代のボトルは、非常にスムースで飲みやすく、ウイスキー初心者から愛好家までを魅了する、まさに王道の味わいです。

②シェリー樽熟成のエキスパート

グレンドロナックは、1826年の創業以来、約200年にわたって100%シェリー樽熟成という伝統を頑なに守り続ける「シェリー樽熟成のエキスパート」です。その哲学は「ハイランドの魂、スペインの才気」という言葉に集約されています。ブラウンフォーマン社が所有するこの蒸溜所は、マッカランのような華やかさよりも、伝統的で力強いシェリー樽の個性を前面に押し出すことを信条としています。

そのハウススタイルは、マッカランに比べてより「力強い」で「濃厚」。一部のボトルは「シェリー爆弾(シェリーボム)」と称されるほど、凝縮されたシェリーの風味が爆発します。特に、辛口のオロロソ樽と極甘口のペドロ・ヒメネス樽の両方を巧みに使い分けることで、複雑で奥行きのある、甘さとスパイシーさが共存する独特の世界観を構築しています。

③各12年熟成ボトルの特徴

多くのウイスキー愛好家が最初に手にするであろう、両ブランドのスタンダードボトル「12年熟成」。これらは、それぞれの蒸溜所の哲学を最も分かりやすく体現した入門編であり、比較することでその個性の違いが明確になります。価格、味わい、そして背景にある思想。あなたが選ぶべき最初の一本はどちらでしょうか。

マッカラン12年 シェリーオーク

ブランドの象徴であり、シェリー樽ウイスキーの王道中の王道です。厳選されたスパニッシュオークのオロロソシェリー樽のみで最低12年間熟成された原酒を使用しており、その品質へのこだわりは揺るぎません。

味わいのプロファイル
口当たりは非常に滑らかでエレガント。多くのレビューで「飲みやすい」「クセがない」と評価されており、ウイスキー初心者にも最適な一本です。公式テイスティングノートによれば、香りはバニラにほのかなジンジャー、ドライフルーツ。味わいは濃厚なドライフルーツとシェリーの甘みが広がり、余韻ではトフィーの甘さ、ウッドスモーク、スパイスが感じられます。

価格と入手性
その絶大な人気ゆえに、近年は品薄状態が続き、価格が高騰しています。希望小売価格での購入は非常に困難で、市場価格は700mlボトルで12,000円から14,000円前後で推移しています 。まさに「シングルモルトのロールスロイス」の名にふさわしい、ステータス性も兼ね備えた一本です。

グレンドロナック 12年

シェリー樽熟成の真髄をより手頃な価格で体験できる、コストパフォーマンスに優れた一本です。このボトルの最大の特徴は、辛口のオロロソシェリー樽と、極甘口のペドロ・ヒメネス(PX)シェリー樽の両方で熟成した原酒を混合している点にあります。

味わいのプロファイル
PX樽由来の濃厚な甘みが加わることで、マッカラン12年よりもリッチで複雑な風味を持ちます。レーズンやチョコレート、オレンジ、ジンジャーといった多彩な香りが絡み合い、甘みとビターさ、そしてスパイシーさが見事なバランスを織りなしています。飲み比べたレビューでは、マッカランにはない心地よいスパイシーさやピリッとした刺激を感じるという意見も見られます。

価格と入手性
マッカラン12年と比較すると、格段に手に入れやすい価格帯です。市場価格は700mlボトルで7,000円から8,000円台が中心で、シェリー樽ウイスキーの入門編として、また日常的に楽しむ一本として絶大な支持を得ています。

12年熟成ボトル早見表

項目ザ・マッカラン 12年 シェリーオークグレンドロナック 12年
熟成樽オロロソシェリー樽100%オロロソ & ペドロ・ヒメネスシェリー樽
香りバニラ、ジンジャー、
ドライフルーツ、上品で華やか
レーズン、チョコレート、
オレンジ、より濃厚で複雑
味わいスムースでエレガント、
バランスの取れた甘み
リッチでフルーティー、
甘みとスパイシーさが共存
余韻トフィー、ウッドスモーク、
穏やかで長い
ビター、ドライ、
スパイシーで心地よい
アルコール度数40%43%
参考価格約12,000円~14,000円約7,000円~8,500円

④各18年熟成が語る特徴

12年熟成が蒸溜所の「顔」であるとすれば、18年熟成はその「魂」を映し出す特別なボトルです。6年という熟成期間の差は、単なる時間の経過以上のものをウイスキーにもたらし、味わい、価格、そして我々が受け取る体験そのものを、全く異なる次元へと昇華させます。

マッカラン18年 シェリーオーク

多くの愛好家やバーテンダーが口を揃えて「12年とは全くの別物」と語るのが、マッカラン18年です 。これは、マッカランというブランドが持つラグジュアリーな世界観の頂点を体現するボトルと言えるでしょう。

味わいの深化
12年のエレガントなプロファイルを基盤としながら、6年間の追加熟成が、圧倒的な深みと複雑さをもたらします。レーズンやトフィー、ダークチョコレート、ジンジャーといった風味がより凝縮され、幾重にも重なる層を成します。余韻はどこまでも長く、力強く、まさに「ザ・マッカランを象徴するボトル」と評されるにふさわしい完成度を誇ります。長期熟成によりアルコールの角が取れ、非常に滑らかな口当たりでありながら、フルボディの飲みごたえがあります。

価値と位置づけ
マッカラン18年は、特別な機会や大切な人への贈り物として選ばれることが多い、究極のステータスシンボルです。その価値は、卓越した味わいはもちろんのこと、所有する喜びや、それを開栓する特別な瞬間そのものにもあります。

グレンドロナック18年 アラダイス

グレンドロナック18年もまた、12年とは根本的に異なる哲学で造られています。マッカランが12年のスタイルを深化させるのに対し、グレンドロナックは18年で用いる樽のレシピそのものを変えるという、大胆なアプローチを取ります。

味わいの変貌
12年がオロロソ樽とPX樽のブレンドであるのに対し、18年(銘柄名:アラダイス)は、オロロソシェリー樽100%で熟成されます 。これは非常に重要な違いです。辛口のオロロソ樽のみを使用しているにも関わらず、18年という長い熟成期間が、驚くほどまろやかで芳醇な甘さを引き出します。テイスティングノートには、ファッジやフルーツコンポート、チョコレートオレンジといった、濃厚でダークな甘さが並びます 。その凝縮された味わいは「シェリー爆弾」とも呼ばれ、力強さと複雑さを求めるウイスキー愛好家から絶大な支持を得ています。

価値と位置づけ
かつて、蒸溜所の休止期間の影響で、18年表記でありながら実際には遥かに古い原酒が使われていた時期があり、「最高のコストパフォーマンスを持つ長期熟成シェリーカスク」としてカルト的な人気を博しました。現在もその評価は高く、マッカラン18年と比較すれば手頃な価格で、極めて高品質な長期熟成シェリーカスク体験ができるため、通好みの選択肢として確固たる地位を築いています。

18年熟成ボトル早見表

比較項目ザ・マッカラン 18年 シェリーオークザ・グレンドロナック 18年 アラダイス
コンセプト12年のスタイルを正統に深化させた、
ラグジュアリーの頂点
樽構成を変え、
12年とは異なる味わいを追求する変貌
キャッチフレーズザ・マッカランを象徴するボトルシェリー爆弾
使用樽こだわりのシェリー樽(シェリーオークカスク)オロロソシェリー樽100%
主な風味凝縮されたレーズン、トフィー、
ダークチョコレート、ジンジャー
ファッジ、フルーツコンポート、
チョコレートオレンジ
口当たり / ボディ非常に滑らか、フルボディ
余韻どこまでも長く、力強い
価値と位置づけ究極のステータスシンボル。
所有する喜びも価値の一部。
通好みの選択肢。
高品質な長期熟成を適価で体験できる。

 

まとめ

マッカランとグレンドロナック、シェリー樽ウイスキーの二大巨頭を比較しました。 「シングルモルトのロールスロイス」と称されるマッカランは、全ての要素が完璧に調和したエレガントな味わいが魅力。一方、「シェリー樽のスペシャリスト」であるグレンドロナックは、濃厚で力強い個性をダイレクトに楽しめます。

ハイボール娘
ハイボール娘

どちらも甲乙つけがたい銘酒ですが、洗練と調和を求めるならマッカラン、濃厚さと力強さを求めるならグレンドロナックという選択になると思います!究極の贅沢体験、ぜひ一度は味わってみてください。ハイボールにするなら、ほんの数滴のソーダで香りを愛でるのが粋ですね!

今後も、「美味しいハイボール」が飲めるような作り方やアレンジ方法などの記事を投稿していくので、いつもの家飲みを「ちょっと特別」にしてみたい方はぜひ見てね!

 

■よくあるご質問

Q1:シェリー樽ウイスキーを初めて飲みます。最初に買うならどれがいいですか?

A1:まずは12年物から試すのがおすすめです。上品でバランスの取れた味わいが好きなら「ザ・マッカラン12年」、より濃厚で力強いシェリー樽の個性を感じたいなら「ザ・グレンドロナック12年」が良いでしょう。どちらもシェリー樽入門の代表格で、買って後悔しない一本です。

Q2:結局、マッカランとグレンドロナックの一番の違いって何ですか?

A2:一言で言うと「エレガンスのマッカラン」と「濃厚パワフルのグレンドロナック」です。マッカランは全体の調和がとれた洗練された味わいが特徴。一方、グレンドロナックはシェリー樽の風味をよりダイレクトに、力強く感じられるのが魅力です。

Q3:12年物と18年物では、値段以外に何がそんなに違うのですか?

A3:香りと味わいの「深み」と「複雑さ」が全く違います。12年物はフレッシュな果実感が魅力ですが、18年物は長い熟成によってドライフルーツを煮詰めたような凝縮感や、葉巻、高級な木の香りなどが加わり、驚くほど滑らかで長い余韻が楽しめます。まさに特別な日に味わう「円熟味」です。

Q4:これらをハイボールにするのは、もったいないですか?

A4:そんなことはありません!特に12年物はハイボールにすることで、華やかな香りが引き立ち、新たな美味しさが発見できます。18年物のような高級ボトルはストレートが基本ですが、ごく少量の炭酸で香りを最大限に開かせる「究極のハイボール」として楽しむのも、非常に贅沢な飲み方ですよ。

Q5:プレゼントで贈るなら、どちらが喜ばれますか?

A5:「シングルモルトのロールスロイス」と称されるマッカランは知名度も高く、誰にでも喜ばれる王道の選択肢です。一方、グレンドロナックは「シェリー樽のスペシャリスト」としてウイスキー好きにはたまらない銘柄。贈る相手の好みに合わせて、エレガントさをとるか、通な濃厚さをとるか選ぶと良いでしょう。